特別支援学校を卒業後、子供にとってどのような環境が良いのか悩む親は多いですよね。
障がい者グループホームは、障がいを持った方が共同生活する場所です。
就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)などに通う生活拠点になり、費用も障がい者基礎年金で賄えるため経済的負担は大きくありません。
今回は特別支援学校を卒業後の生活はグループホームがおすすめな理由と選び方、注意点を詳しく解説します。
目次
特別支援学校卒業後の主な進路は2つ
文部科学省のデータによると、特別支援学校卒業の主な進路は「就職」と「社会福祉施設等へ入所・通所」があります。
子供が抱えている障がいが軽度であれば、自立した生活が目指せる障がい者グループホームへの入居をおすすめします。
本人の自立心や生活スキルを早期に育てることができるからです。
特別支援学校卒業後の生活は自立を目指せる環境が大事
特別支援学校卒業後は、できるだけ早く自立を目指せる環境を整えることが大切です。
多くの障がいを持つ子どもたちは、卒業後も親元で生活を続けることが多いのですが、これでは本人の生活スキルが身につきません。
いずれは一人で生活していくことを考えると、親のサポートに頼らずに外部のサポートや自立支援プログラムを利用することが効果的です。
親元に長くいると自立が難しくなる理由
親元に長くいると、どうしても親のサポートに依存する生活が続いてしまいがちです。
特に家事や金銭管理などを親やきょうだいが行なっていると、本人の成長の機会が減ってしまいます。
現実に、8050問題と呼ばれる80代の親が50代の子供を養っている状況が起きています。
これは様々な要因があるため一概にはいえませんが、親元に長くいることで自立する機会が得られなかったことが一因です。
家族の負担を最小限にでき、本人の生活スキルも高まる
障がいを持つ子供が自立した生活を送ることで、家族の経済的や精神的、体力的な負担が最小限にできます。
たとえば、障がい者グループホームでの生活を通じて家事や金銭管理などの生活スキルを身につける機会が増えます。
親やきょうだいに頼ることなく、外部の支援を受けながら少しずつ自分で生活できる自信を育てることができるのです。
障がい者グループホームをおすすめする3つの理由
特別支援学校卒業後の生活に障がい者グループホームをおすすめする3つの理由をお伝えします。
①自立に向けたサポート体制が整っている
障がい者グループホームには、世話人や生活支援員と呼ばれる人が常駐しており日常生活のサポートをしてくれます。
たとえば、食事の提供や服薬管理、入浴や排泄介助、金銭管理などです。
他にも地域交流へ一緒に参加するなど、普段の生活でできることを1つでも増やすお手伝いをしてくれます。
②社会的つながりを持ちながら安心して生活できる
障がい者グループホームに入居することで、他の利用者や常駐している世話人や生活支援員といった人との関わりのなかで生活できます。
これは障がい者をもつ子供の孤立を防ぎ、心理的な安心感が持てる重要な要素です。
また、他の利用者や世話人などと一緒に過ごすことで、コミュニケーション能力の向上も期待できるでしょう。
将来、親が亡くなった後のことを考えると、家族以外の社会的な繋がりを持っていたほうが本人の孤立感や寂しさは薄れるでしょう。
そういった意味でも、グループホームは社会的な繋がりを持てる理想的な場所です。
③本人の収入のみで無理なく利用できる
障がい者グループホームの利用は、補助金が受けられるため経済的な負担が少ないです。
本人の収入に応じて負担額が設定されており、おおよその利用料は月5~6万円台で収まります。
障がい者グループホームの生活は?1日の流れをご紹介
障がい者グループホームでの生活をイメージしやすいように、ある1日の流れをまとめてみました。
※就労支援B型で働いている場合
- 6:00 起床
- 6:30 体温や体調のチェック
- 7:00 朝食
- 7:30 朝の服薬確認、外出の準備、他の利用者さんと団らん
- 9:00 就労先へ通勤
- 15:30 就労先から帰宅
- 16:00 自由時間
- 18:00 食事
- 19:00 入浴・自由時間
- 21:00 寝る前の服薬 飲み忘れがないか確認
- 22:00 消灯・就寝
障がい者グループホームの選び方
住みやすいグループホームを見つけるための4つのポイントをご紹介するので参考にしてください。
①家賃と物件の質のバランス
障がい者グループホームの家賃は物件の立地や築年数によって大きく変わります。
交通の便が良く、築浅または新築の物件は家賃が高めです。
一方で、アクセスが不便で築年数が古い物件は、比較的低めの家賃設定が多くなります。
また、近隣にスーパーやコンビニがあるか、治安が良いかといった周辺環境も家賃に影響します。
②ペット可否やバイクOK等のこだわり条件
生活をするうえで人それぞれこだわりの条件がありますよね。
- ペットと一緒に暮らしたい
- バイク用の駐車スペースが欲しい
- 近くにスーパーがある立地
- 個室は6帖以上欲しい
- 喫煙や飲酒ができる物件がいい
こういったこだわり条件に当てはまるグループホームかどうかで住み心地は変わってくるため、事前に確認しておきましょう。
③就労支援事業所まで通いやすさや周辺環境
障がい者グループホームから就労支援事業所までの通いやすさも重要なポイントです。
徒歩や公共交通機関で通う場合は、就労先へのアクセスが良いかどうかをしっかり確認しましょう。
一方で、自力での通勤が難しい場合は、就労支援事業所の送迎範囲内にある物件を選ぶのが理想的です。
④グループホームの提供サービス内容
障がい者グループホームごとに対応業務が異なります。
- 金銭管理
- 服薬管理
- 入浴や排泄の介助
- 夜間や土日のスタッフ対応
- 通院の同行
上記以外にも希望するサポートがある方は、事前に問い合わせをして確認しておきましょう。
障がい者グループホーム利用時の注意点
障がい者グループホームを利用する際に気をつけたいことは次の2つです。
人手不足によるサポート不足
いまは介護業界全体で人手不足が問題となっており、グループホームも例外ではありません。
特に夜間や休日のスタッフが不足しがちなことがあり、利用者一人ひとりに応じた個別のケアが難しくなる可能性があります。
入居者間の人間トラブル
障がいの特性によって他者とのコミュニケーションがうまく取れないケースがあります。
相手の言動を誤解して受け取ったり、自分の感情をコントロールできなかったりすることが原因です。
グループホーム内でのトラブルが多いと全体の雰囲気が悪くなり、利用者が安心して生活を送れないかもしれません。
特別支援学校卒業後はグループホームは最適な選択肢
特別支援学校卒業後の選択肢として、障がい者グループホームはおすすめです。
本人の自立心や生活スキルを高めることができ、経済的な負担も大きくありません。
ただし、障がい者グループホームは物件ごとに特色があるため、立地や家賃、希望するサポートを提供しているかなどは事前に確認しておきましょう。
前向きにグループホームに住むことを考えるのであれば、実際の物件を見学して雰囲気を肌で感じ取ったほうが間違いありません。
物件の周辺も実際に歩いてみて、住みやすいグループホームを見つけてみてください。